ウラメにでた日々

4月から短大生

日々のどうしようもないセイショウドウをつらつらと精神安定の為に小説も書いとるわ

vs doctor

彼女はオレに依存していた。

 

 

オレは誰にも依存していなかった(と思い込んでいた)

 

 

彼女はうつ病と診断され抗うつ薬を飲み一日の大半を部屋で過ごした。

 

家族の用、病院、オレが休みの日以外の予定のないときは基本閉じこもっていた。

 

最初に行った病院の先生は女医で半年間薬の量をどんどん増やしていった。

 

オレも様子を見ていたが明らかに彼女の容態に異変を感じ行動力が落ちていくのが分かった。

 

だからセカンドオピニオンを探そうと考えた。

 

仕事を休ませるまでは良かったと思うが治療する事まではこの先生に任せられない。

 

オレはその時、認知行動療法に興味を持っていて自分でも実践していた。

 

だからその治療法に特化した病院を近場で探しその先生の本を読んだ。

 

 

彼女がオレの誘導通り彼女の上司の紹介で新しい病院に変わった。

 

その先生や新しいカウンセラーは最初良い人の様に思えた。

 

移動させる前にオレがその先生の本を読んで考え方に賛同していたからだと思う。

 

 

 

でも医者を信用してはいけない、抜かり無いよう務めなくてはいけない。

 

それがオレの仕事、いや使命であるから。

 

 

 

それからオレは更に張り切った。

 

 

 

診察内容や彼女が言った事や気持ちを逐一報告してもらった。

 

 

 

そう、彼女は病気なんだから

 

医者にちゃんと伝えるべき事は伝えないと

 

良い方向へ治療出来るか分からない。

 

しかもうつ状態では自分で判断できるとは思えない。

 

 

 

 

 

患者の言った事が医者は全てだと思うんだ。

 

その背景なんて気に掛けるわけが無い。

 

医者は何十、何百人と患者を抱えている。

 

その内の一人に思い入れる事なんて出来るわけない。

 

 

 

手も抜くし、時には諦めるだろう。

 

オレだって仕事で全ての人に最高の施しなど

 

出来るなわけがない。

 

 

 

医者だって人間だ、全員を完治させる義務や責任はない。

 

医者なら治せ!

 

そんな事言ってきたもんなら

 

コイツを治したい気すら失せるってもんだ。

 

 

 

そして何よりオレが医者を信じられないのはウツになったとか治ったと言う境界線や

 

原因、治療方法が確立されていないのに治せると豪語しているからだ。

 

更に自ら体験したり、肉親を助けた経験があるわけでもなし

 

自分の家庭問題で手一杯の人間に何を託せばいいのだろう。

 

オレはオレを助けられない医者を信じないし、彼女を救えるなんて絶対思えない。

 

オレが医者を越えなければ彼女を救う事はできないんだ。

 

 

 

だからせめてその医者がどういうスタンスで治療や

 

ウツへの解釈しているか把握する必要がある。

 

 

 

何よりそれを知らなくてはオレの治療する手助けにはならないからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女は徐々にオレの話を聞かなくなっていった。

 

 

 

 

 

ケンカと言うかオレが正論を教えてあげているんだが

 

するほど目も合わさなくなっていった。

 

オレは必死にこちらを向かせ正しい道を諭そうとした。

 

そして、その分慰めるようにセックスをした。

 

 

 

 

 

オレは凄く彼女を愛していた。

 

 

 

オレは正しかったし正しくなければならなかった。

 

 

 

 

 

なのに彼女はオレとの将来やオレ自身の事を聞かなくなって言った。

 

オレの言う事も聞かなくなっていった。

 

 

 

その代わり医者やカウンセラーの言う事

 

家族、職場の同僚や上司の言う事を

 

信じ聞くようになっていった。

 

 

 

その医者に変わるよう仕組んだり

 

常に気遣い正しい方向へ導いたのがオレにも関わらず。

 

 

 

彼女の職場の同僚が(二人)の関係を共依存などと言い始めた。

 

彼女は確かに依存しているが

 

オレは依存などしている筈がない。

 

 

 

カウンセラーは距離をとった方がいいとか

 

終いには別れた方がいいと言い始めた。

 

 

 

 

 

バカが!

 

な~んも知らないで金の為か自分の検証の為に

 

人の人生を弄ぶようなアドバイスをする最低のカウンセラーだな。

 

 

 

そんなアドバイスを鵜呑みにしたり

 

平然とオレにいう彼女もどうかと思った。

 

 

 

そして一番怒れたのはお茶の先生だった。

 

彼女が病院を変え少ししてから

 

お茶へ一緒にじゃなく別々で通いたいと言い出した時

 

 

 

理由がさっぱり想像できなかった。

 

 

 

しかし一番彼女に言われてショックだったのが

 

オレの点前は『我が強い』と言ってきた事だった。

 

自分だってガチガチのからくり人形みたいな所作なのにと思った。

 

それも言ったが病気だからとか、頭が働かないからうまく動けない

 

と言い訳ばかりする。

 

落ち込むので強くは言えなかった。

 

自分は相当無神経な発言はするくせに。

 

 

 

そんなこともあって別々で通いだしたんだ。

 

 

 

 

 

彼女が先生と何を話しているか

 

先生はどう思っているかいつも気になった。

 

 

 

或る時お稽古以外の日に行って彼女がどう思っているのか聞きにいった。

 

個人的な悩みを相談するのは悪いと思ったが

 

きっと辛抱の限界だったんだろう。

 

 

 

 

 

そして先生はちょっと距離を置いた方がいい

 

もう彼女は気がないかもしれないなどと言った。

 

 

 

 

 

僕の怒りはMAXになった。

 

相談をする方もする方だけどプライベートに

 

踏み込む方もおかしいだろ!!

 

 

 

彼女に対しても不信感がました。

 

 

 

彼女にもそう伝えていたみたいで・・・

 

 

 

彼女がオレ以外の言葉を信じるなんて

 

最高の裏切り行為だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし落ち着いて考えた。

 

彼女が良くなる事がオレの望みであるから

 

良くなっていけば良いのかも知れない。

 

そして最終的には、必ずオレに感謝するのだから

 

 

 

なぜなら現実としてオレの思惑通りことは運ばれている。

 

薬の量も医者を変えてから減り、カウンセリングも積極的に受け

 

早期治療プログラムと言うのを受け

 

ワーク的な事をその病院の患者と一緒に行っている。

 

結果として社会復帰、自立への道へは進んでいるではないか

 

 

 

連絡は減りつつも結婚、将来の約束は忘れていないだろう。

 

だって心は繋がっているのだから。

 

 

 

徐々に連絡は減り、彼女からの報告も無くなってきた。

 

今は社会性を再構築させる重要な時期だから

 

僕が介入しすぎるといけない

 

 

 

 

 

 

 

僕へ依存も復活してしまう。

 

慎重に依存の自覚をさせないといけない。

 

僕が出来る事は話しを聞いて優しく抱いてあげる事。

 

 

 

それが恋人でありこれからの人生を共に歩んでいくもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、僕の思考はパンク寸前で日記の様な記録が多くなっていった。

 

 

 

そして彼女からある日

 

 

 

『荷物をちょっと持っていくね、心配しないでね』とメールがあった。

 

 

 

 

 

仕事中にメールが入っていた。

 

胸がざわつきあらゆる可能性を想像した。

 

 

 

 

 

しかし殆どが一つの最悪な想像に辿り着いた。

 

 

 

 

 

 

 

いつも通り家へ一人で帰り

 

暗い寒く翳ろう部屋の中で

 

スイッチをゆっくりつけると

 

 

 

 

僕はへたり込んでしまった。