ウラメにでた日々

4月から短大生

日々のどうしようもないセイショウドウをつらつらと精神安定の為に小説も書いとるわ

hajimemasite

僕と彼女と表千家

 

 

僕がお茶(表千家)を習いだしたのは2年半前の初夏だった。

僕は少し前から付き合った彼女がすごく好きだった。

病的に好きで気が狂っていた。

 

現実僕もウツが再発し彼女もウツになった。

しかし、それは付き合ったことが原因ではないと今は思う。

ウツの原因は主に家族(家庭)にあり、対する自分の思考や癖付けられた性格が問題だからだ。

簡単に言うと『環境と思考』が問題である。

 

 

僕は彼女と結婚がしたかった。

お互い年齢は近く僕も30と言う事もあり焦っていた。

準備段階として同棲をしたかったが彼女の親の反対や彼女の家庭に問題があり容易ではなかった。僕はそれでも何とか同棲し結婚出来る方向へ実力行使するために引っ越した。

彼女の実家近くへ引っ越した。

 

 

彼女とのプチ同棲気分は長くは続かなかった。

彼女は美術館へ勤めていた事もありお茶の稽古を習っていた。

僕は今まで武道や部活などの世界に入り人間関係を作ったことがなかった。

学生時代はずっと美術部で先輩後輩の上下関係も知らずスポ根だましいも理解できなかった。

ダラダラさぼりながら絵をたまに描き基本おしゃべりをし授業中には一度も見た事がない美術の教科書を何回も見返していた。

 

しかし部活動への憧れはあった。

社会に出てからはやっておけば良かったとよく後悔し人間関係、特に上下関係に悩まされた。

そして『道』とつくものの経験があるということへの憧れも出てきた。

その時、流行りの漫画でお茶を題材にした『へうげもの』にはまっていた。

彼女と同じ趣味を持ちたいという勝手な妄想が相まって半ば強引に自分も見学に行き習いたいと申し出た。

 

しかし先生は若い男の子が入る事を喜んでいれさせてくれた。

(後でわかった事だが一緒に習ったことを彼女は快く思っていなかったみたいだった)

 

それから一ヶ月に2回、二人で自転車で通っていた。

習われている方は大体お茶に関係のある方ばかりだった。

祖母、お母さんが昔やっていたからとか和菓子職人など

デパートの茶道具売り場、陶芸家など俗にいう文化人が多い。

 

僕はサービス業で彼女の付き添いです。

漫画が好きでサークル感覚で入りました。

う~ん。。。。不純すぎて本当の理由が言えないと色んな人に聞かれた時いつも戸惑っていた。

 

でも『趣味はお茶です』と周りに自慢する時の優越感はたまらなかった。

男がお茶をするのはとても珍しいみたいだ。

確かに着物、お茶、華、香、書は女のお稽古、たしなみと思われている。

ちゃんと知っている方はわかると思うけれどそれらは何百年も

続いた男の文化なんだ。

 

茶道は千利休から400年も経っているが女のお稽古となったのは昭和からで

女性の嗜みとなってまだ100年も経っていない。

それまでは女人禁制の世界だったんだ。

 

しかし僕が通っている所でもほとんどが50歳以上の女性が9割。

華道、香道もそうじゃないのかと予想している。

だからこそ茶道の話をすると

『男なのに珍しい~』『着物きるの?』『結構なお点前で。。。っていうの?』

と必ず聞かれる。

 

そうですね・・って感じ。

『結構なお服合いで』と僕の所では言ってます。

そして着物は着ません。女性で張り切っている方は着ています。

でも着るのは着る事によって気持ちの切り替えもありますが所作が変わるというのも大きな理由です。

服紗のしまう位置が変われば取り出す手の動きも変わります。

 

 

でもそんなことはどうでもいいんです。

 

 

僕はお茶を習う事に酔っていました。

一般的な恋人同士にはない空間。習慣。

その古風で文化的な関係に普通の恋人ではない優越感に酔いしれていた。

茶道具もいくつか集めた。もともと収集癖がありモノの魅力にはすぐとりつかれていった。

 

 

そして今でも一番心から大切に思うのはその教室の先生との出会いである。

白髪で60を過ぎた女性の先生だがとても明るくセンスに敏感だ。

そして何より洞察力に長けている。

 

お茶で一番学んだことは『察すること』

 

先生はよく点前と関係ない話を振ってきたり、自分の話をしたり、

相手の心の深い所にズバーっと切り込んできたと思ったら、忘れてしまう程暖かく包み込む。

そんな事をしながらずっと目は見据えている。

先生に見つめられるとすべて見透かされていると感じてしまう。

 

 

 

 

 

付き合い始め夏が過ぎ10月が過ぎた頃だった。

僕と彼女は突然だけれど別れる一歩手前になった。

その前にウツで彼女が会社を休職した。

僕の過干渉のせいもあり彼女にとって僕は彼女を脅かすだけの存在になってしまっていたからだ。

 

そんな話を少し綴らせてもらう。